
訪問看護って経験年数が短いとやっていけないんじゃ……?
ベテランしかいないイメージあるわ


そんなことはありません。僕の所属している訪問看護ステーションは4人の内2人が経験年数3年未満です。
訪問看護師になる為にはまず経験を積んでから……。
僕も当初はそういう思い込みがあり、病院での経験を9年積んだ上で訪問看護の世界に飛び込みました。
ですが、働いてみて分かったことがあります。訪問看護は経験年数が浅い人でもやっていける。
具体的には経験年数が3年未満でも戦力として十分通用する、ということです。
極端に言えば新卒でも大丈夫です。
この記事を読むと
- 経験年数が浅いと訪問看護が難しいというイメージが覆ります。
- 訪問看護師になりたいと思ったときに意識すべきことが分かります。
なぜ経験年数が浅いと訪問看護が難しいと言われるのか

まず結論からお伝えします。
結論
業務内容やスタッフの年齢といった要素が、訪問看護という分野を、さもベテラン向けに見せる勘違いを引き起こすから。

誰かに訪問看護は経験を積んでいないと難しいと言われましたか?
いやーなんかみんな言ってない?
なんとなく、そういうイメージ。

このように訪問看護は、なぜか看護の経験を積んでいないと出来ないと思われています。
なぜそのように思われているのか。大きく3つの理由があります。
理由
- 訪問看護は1対1が基本
- 新卒が少ない
- イメージが先行している
それぞれの理由について解説します。
訪問看護は1対1が基本

訪問看護って自分ひとりだけで訪問して対応するんですよね?
基本的にはそうなります。ですが考えてほしいことがあります。

もしあなたが新人の育成を担当する立場になったら、
いきなり新人を訪問に向かわせるでしょうか?
僕の場合、まずは基礎をしっかり教えて、実際に同行し、利用者さん毎の特徴を伝えながら仕事に慣れてもらいます。
その過程に問題が無ければ、次に本人から仕事上の不安内容などヒアリングして1人での訪問を提案します。
本人の意思でひとりで行くとなれば、ひとり訪問スタートとなるのです。

この過程って……病院とほぼ一緒ですね。
訪問看護ステーションで使用している教育マニュアルの基本は病院と同じです。

つまり1対1で対応している看護師は「ひとり訪問に見合うだけの自信と経験を蓄えた看護師」ということです。

教育したスタッフのミスは教育担当の責任でもあります。綺麗事で無くて申し訳ありませんが、スタッフが先輩・上司から怒られるのがイヤなように、僕も上層部から怒られるのはイヤなので、教育には力を入れています。
経験年数が長い看護師さんと言えども、利用者さん毎の特徴や個性は簡単に把握できません。
場合によっては経験が邪魔をして、利用者さんと治療方針についてトラブルになることもあります。
どのような経験を積んでいるにしても、まずは利用者さんから受け入れてもらえないことには訪問看護はできません。
その時必要なのはコミュニケーション能力であり、看護技術うんぬんは後からになるのです。
新卒が少ない
訪問看護ステーションで働く看護師の割合は全看護師の3~4%程度です。
100人看護師がいたらその内の3、4人しか訪問看護ステーションで働いていないのです。
ですから、新卒で訪問看護を選んだ方はかなりレアです。ツチノコみたいな存在です。

新卒の同期で訪問看護ステーションに就職した人いませんでしたよ。
あたしも見たことないなあ。訪問看護やってる知り合いもいないよ。

というのが当たり前です。
大多数の人は病院や介護施設を選ぶもので、これには以下のメリットがあるからです。
新卒が病院や介護施設に入職するメリット
- 同期と同じ就業場所で勤務する可能性が高く、コミュニティが形成しやすい。
- 病院や介護施設での悩みはほぼパターン化されている。故に対策もある程度出揃っている。
- 施設数自体が多いので初めて初めての就職先が合わなくても、転職のハードルが低い。
現状の訪問看護事情を考慮すると、確固たる信念のある方でない限り訪問看護を新卒からの就職先にはしないでしょう。
結果として訪問看護に携わる看護師は全体的に経験を積んだ看護師ばかりで構成されており、経験年数が3年未満くらいの看護師にとっては敷居が高い、難しいと勘違いする要因になっています。
イメージが先行している

上記で述べた2つの理由に加えて、訪問看護に対して「ベテランがやるもの」と思っている方が多いです。
でも結局ベテランが多いんでしょ?


10年前のデータですが、訪問看護師が多いのは40~50代であることが分かります。
これは現在でもほぼ同じ推移であることが予想されます。
実際、訪問看護師は実年齢が高い方が多いのですが、厚生労働省のデータでも経験年数までは分かりません。

どういうことですか?
実年齢は40~50代が多いので、自然とベテランがやっているんだろうなというイメージがはたらくのですが、実際の現場で多いのは育児がひと段落して復帰した方や、別の仕事を経験して、また看護師として復帰した方です。

つまり40~50代が多いと言っても、経験年数が10年以上の方ばかりではありません。
年齢だけを見ればベテランばかりが働いていると考えて、新卒や経験の浅い看護師さんは「自分なんかが……」と委縮してしまい、結果経験年数の浅い看護師さんは二の足を踏む状況になっているのです。
結論
いかがだったでしょうか。
訪問看護はベテランがやるもの。それが単なる勘違いであることが分かっていただけたでしょうか。
もちろん経験年数が長く、色々な分野に精通している看護師の方が訪問看護において有利です。
しかしそれは総合病院でも個人病院でも介護施設でも、看護師以外の仕事においても同じです。
大事なのは職場の環境や本人の姿勢なのです。